凍てつく荒野
白牙山脈(the Whitefang Mountains、480ページ)の北には広大なステップが広がっている。短い草、スゲ、地衣類からなる、風の吹きすさぶ海だ。ここには木が一本も生えない。その風景を破るものといえば、岩の露頭、低い氷堆石、そして氷河湖(ケトル湖)だけである。雪はめったに降らず、雨はほとんど降らないが、雹はわりとよく降る。
カリブーとマンモスがこの高原で草を食み、それを狼や剣歯猫、そして夏に湖から這い出してくる恐ろしいものたちが狙う。暖かい季節にはマンモス遊牧民の一団が歩き回る。だが大部分において、ここは空っぽで寂しい場所である。
印象
常に
- あまりに広く空っぽで、地平線の湾曲が見えるほどの風景
- 絶え間ない風。囁き、唸り、引っぱり、打ちつける
- 風になびく草や雪、あるいは花の咲き方に浮かび上がる模様。読み取れる寸前に消えてしまうルーンのようだ
- 気の短さと忍耐がすり切れていくにつれて膨れ上がる怒り。仲間に暴力を振るいたくなる衝動
春
- 淡い紫の花が点々と散る、黄色や茶色の草
- 深さわずか数インチの水がたまった野。空っぽの空を映している
- 足もとで半ば凍った土がぐしゃりと鳴り、ぱりぱりと割れる さらに北へ行くと、高原はいっそう寒く、いっそう風が強くなり、ステップはツンドラへと変わる。やがて山のような暗黒の氷(322ページ)の壁が地平線いっぱいに広がって行く手を阻む。この氷河は霧氷の君(the Rime Lords、316ページ)の最後の御業である。それは世界の裂け目を封じ、吠え声の呪い(the Howling Curse、492ページ)の最悪の部分を食い止めている。マンモス遊牧民はここへ暗黒の氷を切り出しに来て、少しずつ氷河を削り取っている。
夏
- 永遠に続くかのような昼。太陽は決して本当には沈まない
- 鮮やかな緑の草、赤い地衣類、白い花の入り混じり
- ぬかるんだ土から湧き出る虫の群れ
- 土をついばみ、あるいは群れをなして空へ舞い上がる鳥や氷竜(491ページ)
秋
- 赤や橙や金色に染まった世界
- 低い、低い太陽の落とす長い影
- 風に混じる鋭い冷たさ
- 小動物たちの落ち着きのない採餌
冬
- 終わりのない夜。正午でさえ太陽はかろうじて昇るだけ
- 霜と雪の薄い絨毯。そこから突き出す灌木と枯れ草
- 休むことなく身を苛む風と寒さ
- ここへ来たのはひどい間違いだったという感覚
荒野を越える
凍てつく荒野(the Frozen Wastes)は、南の者にはほとんど理解できないほど人を寄せつけない。荒野へのどんな遠征でも:
問い
- 凍てつく荒野にしか育たず、毎年夏に数日だけ咲く貴重な花とは何か? それはなぜそれほど価値があるのか?
- この地について、あなたが最も驚いたことは何か?
- この広大で空っぽの空間で、あなたが最も恋しく思うのは何か?
- ___がしていることで、あなたがひどく腹立たしく思うのは何か?
- もし___を殺さなければならないとしたら、どうやるか?
- いざとなったら、仲間のうち誰を最初に食べるか?
フック
- PCたちが死を望む悪党が、北の凍てつく荒野へと逃げ込む
- クロンビル(62ページ)を殺せるものはただ一つ。そしてそれは氷河湖の底に沈んでいる
- 吠え声の呪い(492ページ)を封じる暗黒の氷の氷河が、溶けて後退し始めた
地形
1つ選ぶか2つ組み合わせるか、誰かに運命のダイス()を振ってもらう。
| 1 | 氷河湖。小さいが深さは数十~数百フィート |
|---|---|
| 2-3 | 浅い水たまり/氷の広がり |
| 4-6 | 何マイルも草と灌木だけの、開けた広がり |
| 7-8 | 泥/凍った泥の大きな一帯 |
| 9 | なだらかな斜面/低い尾根/小さな高まり |
| 10 | 低い氷堆石。砕けた石と緩い土の小山 |
| 11 | 岩の露頭。高さはせいぜい十数フィート |
| 12 | 一本だけ立つ、目立つ木 |
好みで、規模/広がり/強さのためにを振ってもよい。
発見
これらのいずれについても、1つ選ぶか、誰かに運命のダイス()を振ってもらう。
| 1 | 地形の変化(前の列)、そしてもう一度振る |
|---|---|
| 2 | 脅威や危険についての手がかりを得る機会(例:数や居場所を示す足跡など) |
| 3 | 有用・貴重な植物(458ページ) |
| 4 | 暗黒の氷(322ページ) |
| 5 | 霧氷の君(316ページ)の遺跡やアーティファクト |
| 6 | 遭遇(下記参照) |
| 1 | 今は打ち捨てられたマンモス遊牧民(177ページ)の野営地 |
|---|---|
| 2 | 小動物(狐、野兎、齧歯類、鳥など) |
| 3 | 野生のマンモス(177ページ)やカリブー(177ページ)の群れ。警戒しており、たやすく怯え/怒り出す |
| 4 | 野の精霊(356ページ)、あるいはトゥルパ(324ページ)。好奇心を示すか無関心 |
| 5 | 遠くに見えるマンモス遊牧民(177ページ)。あなたたちを避けている |
| 6 | 警戒しながら近づいてくるマンモス遊牧民(177ページ) |
マンモス遊牧民
典型的な一団は次のとおり:
規模 小村(約15~30人)
人口 +0
繁栄 -1
- 交易相手(1つか2つ選ぶ)……
- 他のマンモス遊牧民
- 農耕の谷
- 要塞修道院
資源
- マンモス(毛、象牙、骨、糞)
- 骨、皮、木材でできたそり
- 狩猟(野生のマンモス、カリブー、野兎、魚)
- 採集(木材、象牙、骨、火打ち石、薬草、暗黒の氷(322ページ)防備 +0
- マンモスに騎乗した戦士
- 猟犬と狩り竜
- 暗黒の氷、火打ち石、骨、青銅の穂先をつけた槍/投げ槍(粗雑)
各一団の約半分は子どもで、残りは健康な大人である。
長老たちは、他の者の重荷になるまで生き長らえることを自らにめったに許さない。一団はふつう10~20頭の成獣のマンモス(177ページ)と数頭の子を飼っている。自分たちの獣を屠るのは切羽詰まったときだけで、ふだんは毛や運搬、労働のために飼っておく。
一団は暖かい季節を凍てつく荒野で過ごすが、寒い季節は白牙山脈(480ページ)の洞窟や遺跡や森に身を寄せて過ごす。荒野へ出ていく前の春か、冬の野営に入る前の秋に、谷の農場(484ページ)や要塞修道院(486ページ)と交易をする。
興味深いこと:マンモス遊牧民は申し分なく礼儀正しい傾向があり、長く形式張った挨拶を交わし、パーカの紐を締めることから獣を解体することまで、あらゆることを手の込んだ、ほとんど芸術的なやり方で行う。
役立つこと:こうした儀礼は、忍耐と品位を欠く遠吠えの呪い(492ページ)に冒された者を見分けるのに役立つ。残念ながらそのせいで、マンモス遊牧民は苛立ちや無作法を呪われている徴と解釈してしまう。
名前
チベット風:ボキ、チェイェズ、ダンイ、ガミャン、リン、ジョンガシュ、ナヤン、ニンゴ、ニャイェラル、パイン、ラマン、サマンズ、セワス、タワロ、ツァル、ツェツェ、ワセン、イェンピ
交易と物々交換
容易に手に入るもの
以下はストーントップでは特別な品だが、マンモス遊牧民の間ではごく普通に手に入る。PCたちが一団と友好的な関係にあるなら、ダイスを振らずにこれらの品を手に入れられる。ただし同じ価値のものを交換に出す必要がある。食料、鉄、ガラス、毛織物はたいてい需要がある。
装飾品にはほとんど、あるいはまったく用がない。
| 品物 | Value |
|---|---|
| 象牙 小片(櫛、ペンダントなど) | 0* |
| ◇ まとまった大きさの一片 | 1* |
| マンモスの牙一本(動かせない) | 2* |
| 荷車一杯分のマンモスの牙 | 3* |
| 暗黒の氷(魔法、322ページ参照) 小さな一片(魔法) | 1 |
| ◇ 大きな塊(魔法) | 2 |
| 特別な性質を持つもの | +1 |
| 実用に耐える道具や武器 | +2 |
| 家畜 | Value |
|---|---|
| 猟犬、従者(鼻が利く、獰猛、疲れ知らず);HP 6;ダメージ (至近、掴み);本能:追いかける;代価:満腹 | 1 |
| 狩り竜、従者(微小、目ざとい、翼が速い);HP 3;ダメージ (至近);本能:自分の限界を試す;代価:数時間/数日の訓練 | 1 |
| マンモス(巨大、頑健、鼻が利く);HP 15;ダメージ (間合い、強打、または至近、範囲、強打);本能:いかなる侮辱も脅威も許さない;暖かい土地では病みやすい | 3 |
特別な品
以下はマンモス遊牧民の間で手に入るかもしれないが、PCたちが手に入れるには交易と物々交換を振らなければならない。これは「ムーブと装備」
の配布資料にある特別な品に加えてのものである。
PCたちがマンモス遊牧民の一団のもとで交易と物々交換をするとき、現地の
繁栄(既定では-1)を使い、小村なので不利で振る。6以下なら、XPに印をつけない――この一団は単に、PCたちが求める/売ろうとするものを持っていない、あるいは欲しがっていないのだ。
| 品物 | Value |
|---|---|
| 陶器 | 0 |
| あらゆる種類の青銅製品や鉄製品 | 1 |
役務と頼み事
以下についてPCたちは交易と物々交換を振る必要はないが、たとえ見合う価値のものを差し出しても、人々を説得する必要があるかもしれない。PCたちが一団に一目置かれていれば、これらの恩恵を無料で、あるいは誰も説得せずに、あるいは値引きして得られるかもしれない。
| 役務/頼み事 | Value |
|---|---|
| 彼らの野営地で数晩もてなしを受ける | 0 |
| 一日か二日の労働 | 1 |
| PCたちに同行して、ある場所へ行く…… | |
| ……どのみち向かっていた場所 | 0 |
| ……数日の回り道になる場所 | 1 |
| ……行く用のない場所 | 2 |
| ……呪われていると知っている場所 | 3 |
危険
危害
- 過酷な寒さと絶え間ない風が、低体温症と凍傷(489ページ)を引き起こす
- 雹の嵐――鬱陶しい、打ちつける(ダメージ)、叩き潰す(ダメージ)
- 泥――足を吸い込み、冷たく、疲れさせる
- 滑りやすい足場
- 静かに空を映す水面が、氷河湖への急な落ち込みを隠している
- 夏には:ブヨ/蚊の群れ――鬱陶しく、気を散らし、痛く、病を運ぶ
- 広大で目印のない地形で道に迷う、あるいは時間を見誤る
- 人々を流血と残酷と野蛮へと駆り立てる囁きと幻視(428ページ)
- 吠え声の呪い(492ページ)に穢された場所
怪物
- 氷竜(491ページ)、特に暖かい季節に
- クレズティグル(379ページ)。土地の言葉では「ムチェブラグリス」と呼ばれる
- 狼(209ページ)
- 白牙山脈に巣を作り、カリブーやマンモスさえ狩るフライサンク(133ページ)
- 飢えと窮乏で死んだ者、あるいは吠え声の呪い(492ページ)に堕落させられた者のレイス(79ページ)
- 野の精霊(356ページ)
- 自由にさまよう、あるいは近くの何かに縛られたトゥルパ(324ページ)
- キャカーラ(493ページ)。おそらくは堕落したマンモス遊牧民の一団の成れの果て
カリブー
HP 7; アーマー 0
ダメージ 角/蹄 (至近、近接)
本能:暴走する
- 群れのもとへ走って戻る
- 危険の兆しに身を寄せ合う
- 暴走する。ダメージ(至近、範囲、凄惨、強打、貫通1)
マンモス
HP 15;アーマー 1(毛皮/皮)
ダメージ 牙 (間合い、強打)または踏みつけ (至近、範囲、強打)
本能:いかなる侮辱も脅威も許さない
- 警告のラッパ声を上げる
- 誰かや何かを放り投げる
- 突進する。しばしば唐突に
マンモス遊牧民
HP 7;アーマー 1(厚い皮と毛皮)
ダメージ 長槍 (間合い、粗雑)または投槍器で放つ投げ槍 (遠距離、装填、粗雑)
本能:自分たちの仲間と群れを第一に考える
- 遠くから誰かに、丁寧かつ形式張って挨拶する
- 暴力に備えながらも冷静さを保つ
- 自分たちのマンモス、犬、狩り竜と連携して働く、あるいは戦う