恐れの川
恐れの川(the Dread River)は、世界の果て(the World's End)の東の境である。白牙山脈(the Whitefang Mountains、480ページ)から流れ下り、北マンマーチと南マンマーチ(North and South Manmarch、282ページと350ページ)を通り抜け、その途中で数多くの小川や支流を集めていく。
印象
いつでも
- 遠くから:静けさの気配
- 近づくと:流れの轟き
- 対岸:廃墟が点在し、寂しく、謎めいている
- 水辺では:落ち着かない感覚。水の中に何がいてもおかしくない——見つめ、待ち、飢えている
春
- 雪解け水で膨れ上がり氾濫した川が、岸からあふれ出している
- 煙の雲のような蝿の群れ
- 泥と腐った魚の臭い
夏
- 岸辺の鮮やかな緑、水面にきらめく陽光
- 水鳥、ムクドリ、虫、流れが奏でる果てしない合唱
- ときおり響く水音——ただの魚か、驚いた亀か、たぶん?
下流域では、川そのものは幅広く深い。幅は決して四分の一マイルを下らず、深さは数十フィート——いや数百フィートにも及ぶ。
遠くからは穏やかで静かに見える。だがその流れは恐ろしく、容赦がない。
西岸には湿地、広々とした氾濫原、険しい断崖が交互に続き、その全域に廃墟が散らばっている。住むには牧歌的な場所だったろう——川の全域が呪われてさえいなければ。
秋
- 岸辺に咲き乱れる秋の色彩が、水面に映っている
- 一面に立ちこめる霧が川を隠しながらも、その轟きとせせらぎを大きく響かせる
- 南へ飛び去る、あるいは頭上を旋回してから舞い降りる水鳥の鳴き声と羽音
冬
- 雪をかぶった木々と断崖と斜面
- 岸から張り出していく氷
- 粘板岩のような灰色の水。死をもたらす冷たさを約束し、かつてないほど不気味だ
質問
- 街道の果ての廃墟には、どんな名高い財宝が眠っていると言われているか?
- かつて何があって、あなたは恐れの川のほとりで一夜を野営して過ごすことになったのか? そこでどんな悪に出会ったか?
- 二百の眼を持つ長虫、スーラッハを見たことのある知り合いは誰か? それはその人をどう変えたか?
- 空っぽの廃墟のほかに、川向こうの土地で目立って奇妙なことは何か?
- リュゴスへ向かう途中で恐れの川を渡るのか? そうなら、どうやって? そして南方の地と川の東の地を隔てているのは何か? 山脈か? 砂漠か? 海か?
きっかけ
- 野盗(355ページ)やカルト信者(435ページ)が、恐れの川の岸辺の廃墟に住み着く。
- PCたちが、もともと街道の果ての廃墟から略奪された呪われた財宝(90ページ)を手に入れる。
- どこかの愚か者が、恐れの川を渡る遠征を計画している。
- 川の東(88ページ)から来た人々が西岸に上陸する。
街道の果ての廃墟
街道(the Highway、270ページ)は防壁峠(Barrier Pass、26ページ)からマーシュエッジ(Marshedge、274ページ)を通り、恐れの川で終わる。街道が尽きるその場所には、かつて交易と学問の賑やかな中心地である、かなりの規模の都市があった。
嵐の君(Tempest Lords、398ページ)はこの都市を「最北の地」と呼んだ。彼らの最果ての前哨地として築かれたからである。
石の君(Stone Lords、382ページ)はここを
アーヴォンカエル(「川の都」)と呼んだ。緑の君(Green Lords、210ページ)にとってはパザラ(「市場」)だった。霧氷の君(Rime Lords、316ページ)はジャラムプラヴァハティ(「水の流れゆくところを抜けて」)と呼んだ。
だが今、この都市は街道の果ての廃墟と呼ばれている。石の君の召使いたちが反逆して下なるもの(Things Below、412ページ)を目覚めさせたとき、恐れの川は数えきれぬ恐怖を吐き出したのだ。都市の住人はたった一夜で虐殺された。
塚の築き手(Barrow Builders、34ページ)の時代を通じて、さまざまな武将や魔術王を名乗る者たちがこの廃都を我がものとした。彼らは造り手の失われたアーティファクトを取り戻そうとし、あるいは都の安らがぬ魂を操ろうとし、あるいは川の恐怖を意のままにしようとした。時には成功さえした。だが、長く続いたためしはない。
廃墟は岸に沿って何マイルにもわたって広がり、同じような過去の名残は川向こうにも見える。かつての壮大な橋の橋脚が、今も水面から突き出している。崩れかけた壁の間に、莫大な富と知識の宝庫がまだ眠っていることは誰もが認めている。
だが同じく誰もが認めている。あの古い地下室の穴や骨組みだけの建物——そしてそこから掘り出されたあらゆるもの——は呪われて(90ページ)いるのだと。
川の東
恐れの川の向こうには、さらなる廃墟、断崖と森、そしてなだらかに傾く平野が広がっている。
マンマーチ人(Manmarchers、282ページ)は、大災厄の時代(the Time of Cataclysm、413ページ)より前のいつか、恐れの川の東から移り住んできた。
だがそこに今も人が住んでいるとしても、彼らは岸から遠く離れて暮らしている。そして川を渡って戻ってきた者がいたとしても、その者は口をつぐんでいる。
恐れの川の東には誰が、あるいは何がいるのか?
それはあなたとグループが決めることだが、おそらく次のようなものが見つかるかもしれない……
- 広大な帝国の抜け殻。今はジャッカルと狼だけの住処
- マンマーチ人の基準から見てさえ血に汚れた、遊牧の略奪者
- 大きく衰え、孤立した領地に暮らす造り手(264ページ)の末裔
- 不死なる魔術王に隷属する民
- 下なるもの(412ページ)にすっかり穢された恐怖の地
- 精霊も魔法も失われた、死んで静まり返った不毛の地
- 森の民(Forest Folk、150ページ)
- 上記のいくつかの組み合わせ
- まったく別の何か
地形
1つ選ぶか2つを組み合わせる。あるいは誰かに運命のダイス()を振ってもらう。
| 1 | 開けた水面。深さは誰にもわからない |
|---|---|
| 2 | 岩/渦/早瀬 |
| 3 | 滝/川に注ぐ小さな流れ |
| 4 | 沼地/水没した木々/流木の堰 |
| 5-6 | 浅瀬/湿地/泥/葦 |
| 7-8 | 砂州/浜/小石の岸/氾濫原 |
| 9 | 斜面/丘 |
| 10 | 断崖/岬/岩の露頭 |
| 11 | 洞窟 |
| 12 | 島 |
望むなら、大きさ/規模/激しさを決めるためにを振る。
発見
どれについても、1つ選ぶか誰かに運命のダイスを振ってもらう。
| 1 | 地形の変化(前ページ)。さらにもう一度振る |
|---|---|
| 2 | 脅威や危険を見抜く機会(例:数や居場所などを明かす足跡) |
| 3 | 有用・貴重な植物(458ページ) |
| 4 | 遭遇(下記参照) |
| 5-6 | 注目すべき場所(次の列) |
| 1-2 | 大きく危険で、すぐに怒り出す獣:オーロックス(131ページ)、猪(204ページ)、洞窟熊(205ページ)、雷竜(135ページ)、角竜(354ページ)など |
|---|---|
| 3-4 | ほとんど無害で逃げやすい獲物:鹿、水鳥、兎など |
| 5 | 探索中の、困っている、あるいは身を潜めている人々(90ページ) |
| 6 | 好奇心旺盛な、あるいは無関心な野の精霊(356ページ) |
| 1 | 塚の築き手(34ページ)の墓、遺跡、アーティファクト |
|---|---|
| 2 | 野の精霊(Spirits of the Wild、356ページ)の聖地 |
| 3-4 | 石の君(382ページ)の遺構や砦 |
| 5 | 嵐の君(398ページ)の遺構、遺跡、アーティファクト |
| 6 | ほかの造り手(264ページ)の一派の遺構やアーティファクト |
注目すべき場所について、それを穢しているものがあるか(あるなら何か)を決めるか、ダイスで決める。
| 1-2 | 下なるもの(412ページ) |
|---|---|
| 3-4 | 死と不死なるもの(Death and the Undying、68ページ) |
| 5 | 上記の両方 |
| 6 | 不思議なことに、何もない |
危険
障害
- 水域と、そこを渡らねばならない理由
- 登るべき断崖と、それを登る理由
- 落石や土砂崩れ(376ページ)
- 驚くほど強い川の流れ
- 水や葦に隠された悪い足場(泥、沈泥、枝、急な深み)
- 見た目より薄い冬の氷
- ユスリカや蚊の群れ——煩わしく、気が散り、痛く、病を運ぶ
- ムクドリの群れ——視界を遮り、音をかき消し、打ちつけてくる。グルグナッハ(370ページ)が潜んでいるかもしれない
人々
- 廃墟に潜む野盗(355ページ)。呪われているか、穢されているかもしれない
- 魔術師(435ページ)に率いられたカルト信者
- マンマーチ人(282ページ):追放者や無謀な探検家
- 冒険者や好古家(260ページ)
- 力を求めて廃墟を漁るハドゥール(234ページ)や死霊術師(84ページ)
怪物
- 獣:オーロックス(131ページ)、雷竜(135ページ)、猪(204ページ)、洞窟熊(205ページ)、角竜(354ページ)、野生馬(135ページ)など
- 捕食者:クーガー(206ページ)、狼(209ページ)、グロクスロン(379ページ)、クレズティグル(379ページ)、噴射竜(379ページ)など
- 湿地や水没した森に潜むラムドゥル(220ページ)
- 野の精霊(356ページ)
- ここで死んだ者たちの幽霊(76ページ)や甦りし者(80ページ)
- 下なるものの顕現(436ページ)や、下なるものに穢された存在(432ページ)。川や廃墟に潜んでいる
呪われた品
恐れの川に点在する廃墟から価値あるものを持ち去ったとき、ロールする(何も足さず、ただ振る)。この地の悪から身を守る手立てを講じていたなら、有利でロールする。10+なら、あなたの盗みは気づかれないか、少なくとも罰せられない。7-9なら、GMが軽い呪いを選ぶ(あるいはあなたに振らせる)。6-なら、GMが重い呪いを選ぶ(あるいはあなたに振らせる)。
| 1 | 食べ物と飲み物が味気なくなり、やがて不快になり、ついにはおぞましくなる(それでも食べて飲まねばならない) |
|---|---|
| 2 | あなたと、同じ屋根の下で暮らす者たちが悪夢に苛まれる。安らかな眠りはつかの間のもの |
| 3 | 野の獣が不自然なほど頻繁に、執拗にあなたを襲う。家畜はあなたがいると落ち着かなくなる |
| 4 | ひと月ごとに一年、急速に老いていく |
| 5 | 歌声/愛する者の手触り/他人が作った料理/惜しみなく与えられた贈り物/あなたを他者と結びつける何か別のものに耐えられなくなる |
| 6 | 何かをせよと駆り立てる囁きと幻視(428ページ)が聞こえる |
| 1 | 恐怖があなたを追ってくる。あなたと品を廃墟へ引き戻そうとし、行く手を横切る者を皆殺しにする。それらを滅ぼすか縛っても、また別のものがやって来る。 |
|---|---|
| 2 | 病(122ページ)にかかる。あなた自身はただ消沈するだけだが、周りの者には命にかかわる病をうつす。 |
| 3 | 周りの者たちは気が立ち、感情がむき出しになり、囁きと幻視(428ページ)にさらされる。心の不安定な者はすぐに屈する。 |
| 4 | あなたは痩せ衰え、やつれ、体調を崩していく。毎週、衰弱・朦朧・消沈のいずれかにチェックを入れ、それを消すことはできない。死んだなら、あなたは甦りし者(Book I、150ページ)となり、その品に繋ぎとめられ、それを守ること、あるいは見つかった場所へ戻すこと(あなたが選ぶ)に取り憑かれる。 |
| 5 | あなたの行く先々で草木は枯れ、食べ物は腐り、作物は実らず、獣は子を生さず病みつく。 |
| 6 | あなたのそばで死んだ者は、最後の扉(the Last Door)をくぐれない。彼らは甦りし者(80ページ)や幽霊(76ページ)となってこの世に留まる。 |
呪いの細部は、その品や、それがどこで何と一緒に見つかったかに合わせて調整すること。関係する存在のテーマや特徴を取り入れる。上記の選択肢を下敷きに、まったく新しい呪いを作ってもかまわない。
呪いから逃れるにはどうすればよいか?
たとえば次のような方法がある……
- 品をもともと見つかった場所へ返す
- 品を跡形もなく壊す:燃やす、溶かす、溶岩に投げ込むなど
- 塩に詰めて辻に埋める
- 青銅の杭で品を貫き、古いニワトコの木に打ち込む
- 品を儀式で清め、呪いをふさわしい器に縛りつけ、その器をどこかに埋めるか隠す。あるいは
- 品の所有権(ひいては呪い)を、進んで受け取る別の者に譲り渡す。相手は呪われていると知らなくてもよいが、その品を自分のものだと主張しなければならない。
ルグルフスク
HP 3、アーマー 1(皮)
ダメージ 電撃(至近、装填)、または噛みつき(至近)
特殊能力 稲妻が効かない
本能 喰らう
- 生き物の電場を感じ取る
- 触れるだけで気絶させるか麻痺させる。ビリッ
- 気絶した生き物に群がる
一匹は数フィートの長さで、コウイカと巨大な蛆をかけ合わせたような姿をしている。濡れた灰色の体をくねらせ、顔じゅうに触手が生えており、その一触れは稲妻のように刺す。
彼らは生涯の大半を水中で過ごし、川に呑まれた力の水晶(389ページ)やエーテリウムのアーティファクト(404ページ)の近くに群れ集まる。その静かなエネルギーに魅入られ、ほとんど眠り込んでいるかのようだ。だがもっと活発な何か、もっと肉づきのよい何かを感じ取ると、たちまち身をくねらせて水から這い出してくる。
丘の民の中には、ルグルフスクはただのオタマジャクシにすぎないと言い、人の背丈ほどにも伸びる顔の触手から稲妻を放つ、もっと大きな多脚の怪物の話をする者もいる。だがそれはおそらく、旅人を怖がらせるためのただの怪談だろう。おそらくは。
ゼリー状の怪異
HP 19、アーマー 1(臓器がない)
ダメージ 仮足(間合い、至近、掴み、凄惨、1貫通)
特殊能力 刺突が効かない。強打でない武器からのダメージは半分。酸が効かない。白亜/生石灰/同様の薬品で傷つく
本能 染み出し、喰らい、育つ
- 水中に潜み、ゆっくりと動きながら餌を探し、あるいは待つ
- 有機物——武器、衣服、肉など——を溶かす
- 呑み込み、有利でダメージ(至近、凄惨、アーマー無視)
ときおり恐れの川の水は岸からあふれ、呪われた廃墟や穢れた場所を水浸しにする。そして水が引いたとき、ときに何かを……置いていく。どこかがおかしい何かを。
スーラッハ
HP 26、アーマー 2(鱗)
ダメージ 洞窟のような顎(間合い、強打、凄惨、3貫通)またはのたうつとぐろ(近接、範囲、強打)
特殊能力 無数の眼。不意を突くことはできない
本能 恐れの川を支配する
- 領域への侵入者を感知する
- 無数の眼の一つで誰かを釘付けにする(下記参照)
- 侵入者を破滅へと引きずり込む
それは伝説の存在だ。鱗に覆われた巨大な長虫で、長さは数百フィート、その巨体じゅうに眼が飾りのように並んでいるという。何百もの眼、実におびただしい数の。川沿いで起こることはすべて見ているという。いかなる侵入も許さず、領域を侵す者はみな溺れさせるか喰らうという。
だがそれがすべて真実というわけではない。スーラッハに出会い、生きてその話を語った者もいる——その眼に映ったものに取り憑かれながら。
スーラッハの眼の一つを釘付けになって見つめたとき、朦朧にチェックを入れ、1つ選ぶ:
• 重荷を下ろした自分の姿を見る。愛するNPCを1人挙げる。あなたの心はその者に対して冷たくなる。その後、あなたのプレイブックから新しいムーブを1つ得る。
• そうであったかもしれない自分の姿を見る。本能を変え、プレイブックのムーブを1つ別のものと入れ替える。
• 起こるとおりの自分の死を見る。次に死の淵のロールをするときは、振らない——10+を得る。2度目に死の淵のロールをするときは、振らない——6-を得る。
• 暗く映し出された真実を見る。GMはあなたに、興味深く役に立つが、ひどく心乱される何かを告げる。
トットナッター
HP 16、 アーマー 2
ダメージ 毒の噛みつき(間合い、近接、至近、1貫通)
特殊能力 熱を見る視覚。並外れた嗅覚
本能 獲物をもてあそぶ
- 獲物を嗅ぎつけ、追いつめる
- 尾を鳴らし、獲物を恐怖で麻痺させる
- 毒をたっぷりと注ぎ込み、退く
- 獲物が倒れるのを待ちながらつけていく
灰白色のガラガラヘビで、途方もない大きさに育つ。猪や鹿、さらには人をも呑めるほどだ。マンマーチ人によれば、彼らは川沿いの断崖や廃墟に棲みつき、食事と食事の間を数か月、数年、あるいは数十年も待つという。
たいていのガラガラヘビは脅威や捕食者を追い払うために尾を鳴らすが、トットナッターは狩りのために鳴らす。自らの尾の音が引き起こす恐怖を楽しみ、気づかぬ獲物をただ噛めば済むときでさえ鳴らすのだ。
トットナッターが獲物に毒をたっぷりと注ぎ込んだとき、次のカウントダウンを始める: